【連載コラムvol.11】視覚障がいを持つマッサージ師にインタビュー!

情熱太郎&ミチネー

皆さんこんにちは!
レイス治療院 運営本部の情熱太郎です!
12月に入りかなり寒くなってきましたが、僕の情熱はこんな寒さには負けません!

ところで、皆さんはお知り合いやお友達に視覚障がいをお持ちの方はいらっしゃいますか?

レイス治療院には視覚障がいをお持ちのあん摩マッサージ指圧師が沢山働いていて、日々ご利用者様のお宅や施設に訪問し、リハビリマッサージを行っております。
視覚障がいがあるのに訪問マッサージなんてできるの?と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、一口に視覚障がいと言っても軽度の方もいれば重度の方もいます。軽度の方は独りで移動ができますし、重度の方でも専属ドライバーと二人三脚で力を合わせれば、どこにでも訪問することができます。

そこで今回は、皆さんにとってあまり馴染みのないかもしれない視覚障がいについて知っていただきたいと思い、視覚障がい者であり、あん摩マッサージ指圧師であるミチネーにインタビューをしたいと思います。

ミチネーの紹介は連載コラムvol.1をご覧ください。
https://leis.jp/news/column001_second/

情熱太郎

「では、カンペを見ながら質問させていただきますね。」

「えっ?カンペ?ちょっと情熱が足りてないんと違う?」

情熱太郎

「へへへっ。」

ミチネー

「・・・。」

情熱太郎

「へへへっ。」

ミチネー

「・・・。」

「どうやら笑って見逃してくれるタイプではないようですね。」

「早く質問してちょーだい。」

「分かりました!では早速ですが、ミチネーはいつごろから視覚に違和感が出始めたのでしょうか?」

「小学校5年生になるまでは普通に見えていたんですが、黄斑部変性症という目の病気を患い、半年くらいで急に視力が0.05くらいまで落ちました。それと、視野の中心部も見えなくなり、見える範囲が狭くなってしまいました。もう何が起こっているのか分からない感じでしたね。でも、実は病気になる前から視野は狭かったと思います。」

情熱太郎

「視野が狭かった?何か心当たりがあるのですか?」

「当時は気付かなかったのですが、私は球技がすごく苦手で、運動神経が鈍いからだと言われていましたが、そうではなく視野が欠けていたためにボールがちゃんと見えていなかったせいかなと思います。」

「それは視野が欠けていた可能性が高いですね。
ミチネーの視力が低下し始めたのが小学5年生。それから年を重ねていますが、見え方は変化していますか?」

「見え方については、すごく徐々にですけど視野も視力も落ちてきていますね。今は両目ともに視力は0.01くらいしかないです。10年くらい前は何とか自転車も乗れていましたが、今は歩いていても物にぶつかります。」

「そうなんですか。白杖はいつごろから使われているのですか?」

白杖

白杖を持ち始めたのは、3~4年くらい前からですね。折り畳めるタイプなのでいつもカバンに入れて持ち歩いていて、移動や外出する時に使いますね。」

「折り畳み式の白杖もあるんですね。
次の質問に移りたいと思いますが、健常者からの偏見や誤解されていると感じる事ってありますか?」

「ん~そうですねぇ。
目の悪い人は一人では何もできないと思われたり、”目の悪い人”というカテゴリでひとくくりにされることがしばしばあります。視覚障がいの中にも、全盲の人もいれば、周りは見えないけど正面は見えている人もいたり、逆に正面は見えないけど周りは見えたりする人など色々います。
それと、白杖を持っていると全く見えていないと思われることがあります。私自身が体験した話ですが、以前人とぶつかりそうだったので避けたら『うわっ、避けた。見えてるやん。』と言われたことはありますね。」

「ん~とても悲しい気持ちになりますね。」

ミチネー

「その人も悪気があって言ったわけではないと思うので、悪いとは思いませんが、そういった事はちょこちょこありますね。
視覚障がい者の中にも色んな人がいます。生まれつきの人もいれば、私のように子どものころに悪くなった人、大人になってから悪くなった人もいます。たとえ現状の見え方が同じであっても、障がいを持った時期や周りの環境も違えば、その人の性格や能力もそれぞれ違うので、そういった部分をお互いに分かり合えたら良いなと思いますね。」

「一方通行ではなく、相互で理解を深める事は非常に大切ですね。
視覚障がいを持つミチネーに聞きたいのですが、視覚障がいの方と接する時はどのように接するのが良いのでしょうか?」

ミチネー

「さきほど言ったように視覚障がい者にも様々な人がいるので、何か困っていそうだと感じたら気軽に声をかけて、その時に困っていることを一つでも助けられたら良いと思います。それと、障がいがあるということにとらわれ過ぎず、それも一つの個性として感じてもらえれば良いかと思います。」

「障がいも一つの個性ですね、分かりました!」

「可能であれば一度アイマスクをして過ごしてみるのもいいと思います。何ができて何が難しいのかを肌で感じることで、一時的ですが視覚障がい者の気持ちになれます。ある病院では職員全員にそういった研修をしているところもあるようです。」

「そうなんですか!では、早速今度体験してみたいと思います。」

情熱太郎

「続いて、普段生活する上で、悩みや困り事もあるかと思いますが、具体的にどのようなことがありますか?」

「困ることは、いっぱいありますね(笑)
郵便物とか新聞にしても活字は読めないから、情報を入手する手段が限られますね。ただ、ITの技術が進化してスマホやパソコンから情報が得られるようになったのは大きいですね。私の目が悪くなった小学生の頃なんて、一人一台携帯やパソコンを持っている時代じゃなかったから、カセットテープに録音したものを後から聞くしか情報が得られなかったんですよ。」

「カセットテープに録音ですか。」

「そうそう、あんまり言うと年齢がバレるから嫌やけど、当時はそれでも貴重な情報源だったので、いつでも録音できるように持ち歩いていました。そういった面で、スマホのおかげで情報のタイムラグがなくなったのも大きいですね。」

情熱太郎

「たしかに。しかも、ミチネーは結構スマホ使いこなしていますよね?」

「便利なのでかなり使っていますよ。Facebookは毎日見てるし、メールのやり取りはLINEだし、空き時間にネットで気軽に情報収集したりしています。外見はおばちゃんだけど、やってることは若者でしょ(笑)」

「がっ、外見も若者です!」

スマホ画面

「画面はこんな感じです。色は反転した方が目が楽です。音声対応もしているので、文字入力は音声で入力出来ますし、タップしたところはちゃんと読み上げてくれるんですよ。」

「たしかに、これなら視覚障がいの方でも使いやすいですね。」

「人によると思いますが、連絡のやり取りは電話よりもLINEでやり取りすることが多いですね。LINEは既読か未読かが分かるので、息子から返信がなくても見たというのが分かるのが便利ですね。でも、スタンプは読み上げてくれないので、残念ながら何を言ってるのかわからない(悲)」

「それは残念ですね。近い将来スタンプも読み上げてくれるようになればいいですね。」

「LINEは大分慣れてきたので、次はTwitterにも挑戦してみようかなと考えています。」

「おおっ!ぜひtwitterにも挑戦して、ぼやいて下さい!」

情熱太郎

「続いて食事についてですが、料理はされていますか?」

「家で普通に料理しますよ。包丁で肉や野菜を切りますが、慣れているので指を切ることもないですね。炒め物や揚げ物もします。」

「揚げ物ですか!油が飛び散ったり、火傷したりしないんですか?」

ミチネー

「油は思いっきり飛び散らかっていますね(笑)。鍋に顔を近付けすぎて、目に油が飛んだこともありますが、意外と大丈夫ですよ。」

「いやいや、さずがにそれはまずいでしょ。」

「視覚障がいですが、慎重なタイプではなくおおざっぱな性格なので、基本雑ですね(笑)。」

「間違いなく僕より雑だと思います!」

「家にいるときは家族もサポートしてくれるので、ある程度自由にしていますが、外に出ている時は結構困ることがありますね。」

「例えば?」

ミチネー

「お昼はだいたいコンビニで買うのですが、手に取った商品は基本何か分からないわけですよ。おにぎりかなっていうの分かるんですけど、中身は分からないから2~3個レジに持って行って、店員さんに『これ何ですか?』と聞くことが多いですね。」

「それは結構不便ですね。」

「そうそう。お昼は店員さんも忙しいので、店員さんを呼ぶよりも自分が持って行って店員さんに聞く方が良いと思っているので、一応気は使っているつもりです(笑)。」

「そ、そうですね(笑)。」

ミチネー

「一番厄介なのが、レジに行くまで値段が分からないことです。なので、買いたい商品を手に取って、ある程度重さで値段を予想しますね。重いものは比較的高いです。でも、軽いから安いだろうと思ってレジに持って行って、高かったら何かすごく割高な感じがするので、そういう時は買わないです(笑)」

「割と図々しいおばちゃんじゃないですか(笑)」

「失礼やね~個性と言ってくれるかな(笑)」

その個性の使い方は、ダメな使い方ですよ。
では、最後の質問です。視覚障がいの方がより暮らしやすい世の中になるには、どのような社会になっていくのが望ましいと思いますか?」

ミチネー

スマホのようにまだまだ新しく便利なものが出てくるので、そういうものを使いこなして、外出の際も視覚を補えるようになれたらよいなぁと思います。私が視覚障がい者になった頃は、今の世の中なんて全く想像もできなかった世界。この先ももっともっと便利になると思うので、そういう意味で未来はすごく楽しみです。」

スマホの普及は、視覚障がいの方にとっても大きな進歩だったんですね。」

「それと、健常者は視覚障がい者に対して、目が悪かったらできないだろうとか固定概念を持たずに、一人の人間として見てもらえたら嬉しいですね。
それに対して、視覚障がい者側も意外と自分でできることは多いので、障がいというのをあまり考えずに何でもやってみることが大事だと思いますね。子供とか高齢者とかと同じで、出来ることまで周りがやり過ぎてしまうと本人がしなくなってしまうので、出来ることは本人がするようにしたほうがいいと思います。
お互いが共存していくために個性を尊重し合い、構えすぎないのが重要ですね。」

「その通りですね。視覚障がいの方も今まで以上に社会で活躍できるように、明るい未来を共に目指していきましょう!ありがとうございました!」

「ありがとうございました。で、このインタビュー出演料はいくら?」

「出演料?え~っと、じゃあ今度僕の手料理をご馳走します!」

「面白くないから、出演料は情熱太郎の給料から天引きしておいてって経理に言うとくわ。」

情熱太郎

「ミチネー、キツーい!」

情熱太郎&ミチネー

最後に
僕自身、レイス治療院で働くまでは視覚障がいの方と触れ合うことは全くありませんでした。そのため、特に初めのうちは視覚障がいを持つマッサージ師とどう接していいか、障がいについてどこまでどのように触れたらよいのか、また触れてはいけないのかのが分かりませんでした。
しかし、一緒に働きながらコミュニケーションを深めていくと、視覚障がいであることを忘れてしまうほどオープンな方や一人でなんでもできてしまう方も多く、皆さん生き生きと仕事をされています。また、障がいを持ちながらも健常者以上に努力する姿や学ぼうとする姿勢にいつも心を打たれます。
僕たちレイス治療院は、障がいをお持ちの方が差別や偏見を受ける事のない過ごしやすい社会を目指して、全力で取り組んで参ります。

次回のコラムでは、ミチネーから提案を受けたアイマスクを着けて視覚障がいの方の体験をしてみたいと思いますので、お楽しみに。

この記事を気に入っていただけましたら、下記SNSボタンよりシェアお願いします!
また、LINE@では新着情報を定期的に配信しております。是非、友だち追加をお願いします。

連載コラム一覧へ

本部からのお知らせ一覧へ

サイトトップへ