健康コラム:お餅が詰まって窒息?!年末年始、高齢者は特に注意!

あっという間に今年も終わりを迎えようとしています。
年末年始は、ご家族でお餅を食べながらのんびり過ごすという方も多いのではないでしょうか?

そんな「お餅」ですが、年末年始になるとお餅による窒息事故のニュースを耳にするようになります。

実は、お餅による窒息事故は毎年12~2月にかけて多くなり、最も多いのが1月のお正月シーズンとなります。
東京消防庁のデータによると、平成24年~28年の5年間でお餅を喉に詰まらせて救急搬送された方は、東京消防庁管内だけで540人以上にのぼるとされています。そのうち、65歳以上の高齢者はなんと全体の9割を占めているそうです。

今回は、そんなお餅による窒息事故の原因と対処法についてご紹介いたします。

1.お餅が詰ってしまう原因


お餅は、40度以下になると固まりやすくなります。熱々のうちはやわらかいのですが、口の中に入ると温度は下がってしまいます。固まり、くっつきやすくなったお餅が気道を塞いでしまうことにより、窒息を引き起こします。
また、早食いの方も注意が必要です。よく噛まずに、大きな塊のままお餅を飲み込むことで気道を塞いでしまいます。

高齢になるとお餅が詰りやすくなる理由

お餅による窒息事故の9割が高齢者といわれていますが、高齢の方が多いのには以下の理由があります。

・飲み込む力が弱い
高齢になるにつれ、喉の奥に運ぶ舌の力や飲み込む力が弱くなります。お餅だけでなく、水分が少ないパンやイモ類など飲み込みにくくなります。
喉の奥にまで、食べ物を運ぶことが出来ず、途中で詰ってしまうのです。

・唾液の分泌が少ない
唾液の分泌が減ってしまうと、うまく喉の奥に流し込めなくなります。

・良く噛むことができない
あごの力が衰えることで、食べ物を小さく磨り潰すことができなくなります。
そのため大きな塊のまま飲み込んでしまい、喉に詰まる原因となります。

・咳き込む反応が弱い
喉に食べものが詰ったとき、私たちの身体は咳き込むことで外に排出しようとします。
しかし高齢になると、その咳き込む反応が弱くなりうまく吐き出すことができません。
そのため、詰ったお餅を上手く吐き出せず重症化する可能性が高くなります。

2.お餅を詰まらせないようにする為に(予防法)

せっかくのお正月、詰まらせないようにお餅を美味しく食べるにはどうすれば良いのでしょうか?ここでは、お餅を食べるときに注意することをご紹介します。

・良く噛んで食べる
粘着力のあるお餅は、噛みづらいため大きな塊で飲み込んでしまいがちです。
ゆっくり時間をかけて噛んで、小さくしてから飲み込むようにしましょう。また、良く噛むことで唾液が分泌されお餅が喉にくっつくのを防いでくれます。

・食べる前に喉を潤わせる
口の中が乾燥していると、お餅がくっつきやすくなります。食べる前や食べている途中にしっかり水分を取り、喉を潤わせるようにしましょう。
特に朝は唾液の分泌が少ない為、口腔内が乾いている可能性があります。いきなりお餅を食べるのではなく、お味噌汁やスープを飲んでから食べると良いでしょう。

・食べやすい状態にする
上手く噛むことが出来ない場合はお餅を、あらかじめ1口サイズに切り、食べやすくしておきましょう。すこし小さいかな?と思うくらいのサイズが良いでしょう。
一番食べやすいといわれているのが「お雑煮」です。煮ることでお餅が柔らかく食べやすくなり、さらに汁物と一緒に食べることができるので飲み込みやすくなります。
逆に気をつけたいのが、きな粉のかかったお餅です。むせやすく、口の中の水分を奪うので、食べるときはゆっくり注意して食べるようにしましょう。

最近は、食べやすさを重視した粘り気の少ないお餅も販売されているので、試してみるのも良いでしょう。

・姿勢に気をつける
食べる姿勢も重要です。猫背の場合。顔が前にでるため喉の筋肉が引っ張られた状態になり飲み込みづらくなります。
イスに座って食べるときは、足はしっかりと地面につけ深く腰をかけ綺麗な姿勢を心がけましょう。

・皆で食べる
高齢者や幼児がお餅を食べるときは、異変を察知しすぐに対処できるよう、誰かが見守るようにしましょう。
一人で食べずにみんなで食べるようにしましょう。

3.もしお餅が詰まったときは・・・?(処置方法)

首に両手を当てる
お餅が詰ってしまった場合、すばやい対処が必要です。ここでは、もしものときの処置方法をご紹介いたします。

1.意識があるか確認する
まずは呼びかけて意識があるどうかを確認しましょう。

【 両手を首に当てる「チョークサイン」を出している。】
このチョークサインは「息が出来ずに苦しい」ということを他の人に知らせる全世界共通のサインとされています。
このチョークサインを出していたり、顔色が優れない場合は窒息を疑いましょう。

2、意識がある場合

【 激しく咳き込んでいる 】
咳き込んでいる場合は可能な限り、咳をしてもらいましょう。

【 背部叩打法(はいぶこうだほう)を行う 】
1.片方の手で下あごもしくは胸の辺りを支えて、うつむかせます。
2.もう片方の手の付け根で、肩甲骨と肩甲骨間をすばやく叩きます。
3.詰っている食べ物が取れる、または反応がなくなるまで続けます。
⇒反応が無い場合は、すぐに救急車を呼びましょう!

3、意識がない場合
意識が無くぐったりしている場合は、救急車を呼び心肺蘇生法を行います。
心肺蘇生法を繰り返し、異物が安易に取れる場合は取り除くようにしましょう。

4、詰っている異物が取れた時
お餅など詰っていた異物が取れた後も、周囲の方は注意して見守るようにしましょう。
奥にまだ異物が残っている可能性もあるので、少しでも違和感を感じたら病院で診てもらいましょう。

◎ 注意しましょう!

 

・掃除機などで吸引しない
詰っているものを取り除こうと、掃除機などで吸引はしないでください。専門の吸引器具がない場合、口腔内を傷つけてしまう恐れがあります。家庭では行わないようにしましょう。

・無理に手で取り除こうとしない
口に手をいれて、異物を取り除こうとすると返って奥に入ってしまうことがあります。異物が見え、安易に取り除ける場合以外は触らないようにしましょう。

 

 

5.まとめ

 

 

  • お餅による窒息事故は毎年1月が最も多く起こる
  • 高齢者は身体機能の低下により詰りやすく重症化しやすい
  • 詰りやすい食べ物であることを念頭に置き、食べる時は十分に気をつける
  • もしも詰ってしまったときは背部叩打法を実施する

 

 

いかがでしたか?お餅による窒息は誰にでも起こりうる事故です。
もしものときはご紹介した処置方法を行えるよう覚えておきましょう。
食べるときは十分に注意し、美味しくお餅をいただきましょう!!